歯の病気になってから初めて治療を始めるのではなく、なる前に予防しようという取り組みを「予防歯科」といいます。
その中でも最も予防が求められる歯科疾患が、重篤化すると歯を失う「虫歯」と「歯周病」です。
年をとっても虫歯や歯周病で歯を失くすことなく、自分の歯を残すには「8020(ハチマルニイマル)運動」が重要となってきます。
「悪くもないのに歯医者に行くのは面倒」と思われるかもしれませんが、歯をなくしてから後悔するよりも、誰だって健康な歯で一生暮らしたいですよね。
また、歯を失ってしまったせいでインプラントの治療を受ける場合、週十万円の費用がかかることから、予防歯科は決して高い出費ではないといえます。
虫歯と歯周病の原因はどちらも「歯垢」です。
口内の清掃が不十分だとリスクが高くなるのですが、残念ながら歯磨きだけでは歯垢を完全に落とすことはできません。そのため、虫歯や歯周病のリスクを低く抑えるには、病気の知識だけでなく、プラークコントロールなどのケアについて正しい知識を身に付ける必要があります。
年をとると歯がなくなったり、入れ歯をするのは当たり前、そう思っている方は多いのではないでしょうか?でも、年をとれば誰でも歯を失うというわけではありません。
歯を失う原因となる虫歯や歯周病をしっかりと予防すれば、一生自分の歯で食べ物を噛むとことは難しいことではないのです。
そんな、歯を残すための国の取り組みの一つに「8020運動」があります。
8020運動は、1989年に当時の厚生省と日本歯科医師会によって提唱された「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。
年をとっても自分の歯で食べ物を噛むことを目的としています。
歯が20本残っていれば、硬い食べ物でもしっかり噛めることが分っているのだそうです。80歳になって20本以上の歯を残すためには、以下の3つの点に気をつける必要があります。
歯を失うとしっかりと噛むことができなくなるので、それまでのように食事を楽しむことができません。
さらに、「顔貌が変わる」「うまく話せない」「転倒しやすくなる」など、日常生活にさまざまな悪影響を与えます。
逆に、しっかりと噛むことができると、唾液の分泌が促進されて消化吸収が良くなるほか、虫歯や認知症の予防、精神安定にもつながるのです。
いくつになっても元気で過ごすためには、自分の歯で噛むということが大切だといえます。
2011年11月に厚生労働省が実施した歯科疾患実態調査によると、80~84歳の平均残存歯数は12.2本となっており、まだまだ20本までは手が届きません。
それに対して、予防歯科先進国のスウェーデンの最近の調査では、すでに20本という目標は達成されているのです。このような残存歯数の違いには、何が関係しているのでしょう?
それには、「デンタルIQの格差」が大きく関わっているといわれています。
デンタルIQとは、お口の健康についての意識の高さを示すもので、歯や歯の病気に関する知識のほか、予防歯科に対する関心の高さで計ることができます。
歯科医院での定期健診が当たり前の先進国に対して、日本では「痛くなってから病院に行く」という人が多いことから、先進諸外国に比べて日本人のデンタルIQは低いと言わざるを得ません。
虫歯や歯周病は歯磨きが大切とはいえ、歯磨きでは完全に予防することはできません。
歯の病気を防ぐためには、予防歯科では「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」の2つのケアが必要だといえます。
2つのケアをバランス良く行うことで、歯の健康を維持することが可能になります。
さらに、歯の喪失を防ぐことはQOL(生活の質)・AOL(生活の快適さ)の低下の防止につながることから、十分なケアが必要なのです。
それでは、2つのケアにはどのような方法あるのかをご紹介しましょう。
セルフケアとは、お口の中を清潔に保つために、自分で口内の清掃を毎日行うことです。
虫歯と歯周病のどちらにも効果的なセルフケアとしては、歯ブラシによるブラッシングがあげられます。また、そのほかに虫歯と歯周病を予防するためには、以下のようなセルフケアがあります。
虫歯予防
歯周病予防
ガムの甘味料として広く知られるキシリトールは、砂糖と違って歯を溶かす酸が発生しないのが特徴です。また、「歯垢や細菌を減らす」「抗菌作用のある唾液の分泌を促す」などの虫歯を防ぐ効果があります。ぜひ上手に活用して、虫歯の予防に役立てましょう。
プロフェッショナルケア(プロケア)とは、専門家から歯磨きの指導を受けたり、必要に応じて歯科治療を受けることです。プロケアは3ヶ月から半年に一回のペースで定期的に行う必要があることから、歯科のかかりつけ医を持つことをおすすめします。
虫歯予防
歯周病予防
虫歯と歯周病を予防するには、以下のようなプロケアがあります。
虫歯予防については以下のページで詳しく紹介しています。
また、歯周病予防については以下のページで詳しく紹介しています。
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